フランス人は結婚しない?!カップルの自由な選択肢とは

Bonjour!,c’est pompon!

日本では女性を中心に「婚活」という言葉が定着しましたね。自由に恋愛を楽しんでいるイメージのあるフランス人たちは「婚活」しているのでしょうか?

また数年前に「フランス婚」という言葉を耳にしましたが、これは一体なんでしょう?フランスにおいてはどのような存在なんでしょうか?

今回は、フランスの「結婚したがらない」文化についてお話したいと思います。

フランス人は結婚が嫌い!?

フランスでは実に半数以上の子供が婚外子。共に暮らして子供をもうけていても結婚していないカップルが50パーセント以上いるということです。

これには様々な理由がありますが、「結婚」というものを重要視していない人が多いということ、結婚していなくても同様の法的権利を受ける方法があること、結婚・離婚手続きが大変なこと、などが挙げられます。

結婚を重視していない人たちの多くは、「愛情があるから一緒にいる。愛が冷めたら別れる。その度に離婚結婚を繰り返してはいられない」と言います。結婚というシステムに縛られることよりも、心のままに生きていたい、という考えがあるようです。

フランス人は結婚しない?!カップルの自由な選択肢とは

事実婚、PACSを選ぶカップルたち

フランス人が結婚しない理由のふたつ目、法的権利を受ける方法についてご紹介しましょう。

フランスでは結婚の他に、 同棲、PACS(パックス、共同生活の契約)、と3つの家族の形があります。

同棲とは一切の手続きも届出も必要のない家族の形です。家族としての税金などの優遇や両者間の法的な保護はありません。

パックスとは、結婚している時と同じような社会保障や税金の優遇措置が受けられますが、結婚よりもずっと簡単に手続きができます。契約を結ぶ際には、カップルで自由に権利や義務を定めた契約書を作成します。

パックスと結婚は全く同じではありませんが、なんの手続きもいらない代わりになんの優遇措置も権利もない同棲よりも、多くの利点があります。

同棲期間を経てパックスを結び、家庭を持って一緒に暮らしてみてから数年後に結婚をするという人もいます。「本当にこの相手とやっていけるか」のお試し期間としても利用されているシステムなのですね。

「パパとママは結婚していない」は普通

冒頭にお話したように、子供の半数は婚外子です。単純に考えて、クラスの半数の子の両親は婚姻関係にないということです。

日本の婚外子は2パーセント。その数字が表すように、日本で婚外子はまだイレギュラーな存在です。ですがフランスではごく普通のことで、子供達も「パパとママが結婚していない」ということに疑問を持つことも問題視することもありません。

もちろんクラスでいじめられたり、子供が悲しい思いをすることも一切ありません。子供にとっては、両親が結婚しているかは特に大切ではないのです。それは学校にとっても同じです。「世間体が悪い」ということもありません。

そして子連れで新しい家庭を新しいパートナーと築く人も多くいます。子供にとってはパパとママ、そして新しいそれぞれのパートナー、と4人の両親がいるような複合家族が溢れていて、今も増える一方です。

フランス人は結婚しない?!カップルの自由な選択肢とは

離婚が大変なフランス

フランス人が結婚にふみきらない理由の大きなものが、離婚手続きの大変さ。その煩わしさから結婚という形を取らないカップルは多いのです。

「結婚する時から離婚のことを考えるの!?」と驚きの声が聞こえてきそうですが、フランスでは、結婚の段階から離婚をも見据えた契約書を交わし、財産の取り決めなどを明らかにしておきます。現実的ともいえるでしょうか。

フランスの離婚には、協議離婚や訴訟離婚などいろいろな種類がありますが、いずれにせよ弁護士を立てて行います。2017年に法律が変わり簡略化されたとはいえ、数週間から数ヶ月、条件などの折り合いが合わず数年かかることも珍しくありません。

夫婦お互いが離婚に同意していても弁護士は必要で、時間がかかりもちろんその費用もかかります。日本の紙一枚で終わる離婚とは全く異なります。

子供がいれば離婚はさらに複雑です。片方の親が親権を持つ日本とは異なり、フランスは共同親権です。その上で監護権の有無やどちらの親とどれくらいのペースで会うか、養育費は…など細かに弁護士とともに進めていかなければなりません。

そのため、最初から結婚という形を取らず、残念ながらカップルが破綻した場合は簡単に解消できるパックスや同棲という形を取る人が多いのです。

フランス人は結婚しない?!カップルの自由な選択肢とは

たとえ結婚しても仕事は辞めない女性たち

もちろん結婚に対して肯定的に捉えている人も多いですし、結婚に夢を持っている人もいます。ですが、「寿退社」という感覚は理解されにくいようです。

フランスは結婚しても小さな子供がいても共働きが一般的です。これはもちろん出産しても働ける職場環境や、保育環境が整っているからではありますが、それ以前に女性の経済的自立、精神的自立の点から見ても、結婚したから仕事を辞めるという感覚は皆無です。

数十年前は「男が働き女は家を守る」という感覚もあったようですが、現在は違います。

実際にどちらか片方の収入だけで暮らしていくのは苦しいことが多いでしょうし、たとえ収入的に安定していても、「養ってもらう」という感覚が薄いので、仕事は辞めません。

もちろん職場で結婚や出産を機に退職を促されるようなこともありません。

フランス人は結婚しない?!カップルの自由な選択肢とは

カップルは、対等に自立した関係が理想

このように、結婚やパックスなどどんな形をとっていても、カップルはそれぞれがきちんと経済的、精神的に自立していて対等な関係が理想なのです。

その上で、自分たちにとって結婚するメリットがあると思えば結婚するでしょうし、特にそのメリットを感じなければ未婚の家族のままでしょう。それで社会的に問題は何もないのです。

日本の事実婚と「フランス婚」は、同じ事実婚でもちょっと異なるようですね。

それではみなさん、A bienetôt!

ライター名 pompon

・渡航した年 2005年
・お住いの国 フランス
・プロフィール パリに音楽留学したのち、フリーランスとして活動、そして結婚。フランス人の夫と娘、そして猫と一緒にフランス西部の都市に暮らしています。在仏12年になりました。フランスのバカンスシステムを支持する一方で日本の温泉も捨てられないという、日仏いずれをも愛する30代です。