Bonjour!,c’est pompon!
海外在住の日本人が楽しみにしている一つといえば、日本への一時帰国。仕事の都合で外国に暮らす人、勉強中の人、国際結婚した人、滞在している理由はそれぞれですが、自国へ帰るというのはやはり嬉しく、航空券を買った時からもうウキウキしてしまう一大イベントなのです。
今回は、フランスに滞在していて日本に一時帰国した時、ありがちなことややってしまいがちなことをご紹介します。
「声と身振り、表情が大きい」と言われる
帰国してすぐに言われがちなことのひとつです。静かに控えめに話すのが美徳の国、日本。それに対して自己主張が求められるフランスでは、ついつい話す声が大きくなりがち。複数で話しているとそれぞれがそれぞれに話すので、聞き手に回っていたり小さな声で話していては誰も聞いてくれないのです。そのため自然と大きな声で印象的に話すようになります。
また身振り手振りを加えて話すことも多く、ついついオーバーアクションになりがちです。同様に表情でも語る癖がついていて、特に目元の表情筋を駆使したリアクションが自然に出て、相手にちょっと驚かれます。
お店で挨拶をしてしまう
日本では、コンビニでもスーパーでもそのほかのショップでも、「いらっしゃいませ!」と言われますよね。そこで返事を返すことはほぼないのが普通だと思います。
しかしフランスでは、まず入ったら「Bonjour!」をお互いにいうのが基本です。無言でお店に入るとあまりいい顔はされず気持ちのいい接客を受けられないことも。お客さんが店員さんより目上という感覚は全くなく、むしろ反対では?と感じることもしばしば。
そのため、どこのお店に入ってもつい「はいこんにちは」と返事をしてしまうのです。
染み付いたスーパーでの習慣
続いてもお店、特にスーパーに買い物に行った時のことです。フランスでも備え付けのレジカゴやカートはありますが、代わりに持参したエコバックにどんどん商品を詰めても問題ありません。でも日本で同じことをしてしまうと即万引きなので、うっかりしないよう注意が必要です。
そして会計のレジでも、違いがあります。自分で商品をカゴから取り出し、椅子に座った店員さんはピッピとバーコードをスキャンするのみで、流れる商品を自分で素早く袋に詰める必要は…日本ではないですよね。
でもついついカゴから自分で商品を出してしまったり、会計までを手持ち無沙汰に感じたりしてしまいます。小さな娘もカゴから急いで商品を出そうとするので、染み付いた習慣と常識ってすごいなあと思います。
もちろんレジでももう一度「こんにちは」って言ってしまいます。
コンビニとドラッグストアに感動する
さらにお店ネタですが、私は日本の商品の工夫と品揃えは世界一!と思っています。短いスパンで新製品が出たり改良されたり。常に向上心を忘れず良いものを作ろうとするのは日本の素晴らしいところだと思います。
ふらっと入ったコンビニには痒い所に手が届く品揃えで、ドラッグストアでは選びきれないほどのヘアケアグッズやコスメ、ヘルスケアグッズなどが所狭しに並んでいます。
どちらか1店舗持ち帰りたいと思っている私です。
外食の時のアレ
そして外食すると、必ずと言っていいほどおしぼりやお手拭き、そしてお水のサービスがありますよね。フランスでもお水は頼めば無料でもらえますが、おしぼりのサービスはほぼありません。まずそこに感動。
そして食事の好みはそれぞれですが、多くの海外在住者は日本で生魚を心ゆくまで食べて滞在先へ戻っていくでしょう。日本ほど安全で美味しいお刺身やお寿司が安く食べられる国はそうありません。特にマグロやサーモンのお寿司はフランスでもポピュラーですが、その他の種類は本格的な日本食店でないとなかなか食べられないもの。ここぞとばかりに堪能します。
そしてケーキを食べるときに小さなデザートフォークが出てきてなんだか違和感を覚えます。フランスではほとんどが小さなスプーンなのです。
外国人を見かけるとなんだか嬉しい
そして見慣れた外国人の姿を街で見かけると、ちょっと嬉しくなってしまいます。私は実家が地方都市なのでそんなに見かけることが多くないせいか、ついついどこの国の人かとそっと聞き耳を立ててしまいます。旅先で偶然であった日仏家庭と仲良くなれたこともありました。
ついフランス語が
これは、「かぶれている」訳でも「かっこつけている」訳でもまして「自慢している」訳でもないのですが。
ついフランス語の方が先に出てしまうことがあります。もちろん誰かと会話している途中にいきなりフランス語を話し出したりはしませんが、とっさの時、例えば誰かとぶつかってしまった時など、「すみません!」
よりも先に「Pardon!」が出てしまい、「パー…」まで出かかったところで気づいてとっても恥ずかしい思いをしたことがあります。言われた人も「『パー』ってなんだよ」と思ったことでしょう。
またよく覚えているのは、数人のフランス人を案内してフレンチビストロに入った時のこと。日本語の他にフランス語も表記してあるメニューを見ながら注文しようとして、お店の人にフランス語で注文しかけてしまいました。フレンチビストロだっただけにもう本当に恥ずかしくて真っ赤になってしまいました。わざとじゃなかったんですよ。
戻りたい?戻りたくない?
そして楽しい一時帰国も終わりに近づいてきた頃。フランスに戻りたい気持ちと戻りたくない気持ちが戦いを始めます。私は国際結婚をしてフランスに暮らしていますし、もともと住みたくて渡仏しました。でもフランスとは違う、便利で美味しくて楽しい自分の国日本も大好きなのです。
しかし海外に出てみると、日本の常識に疑問を感じることもあります。お店で店員さんだけが挨拶をするのもコミュニケーションとしては不自然ですし、階段で荷物を持って困っているお年寄りや赤ちゃん連れの人に自然に手を差し伸べる人が決して多くないことも、人として少し悲しいと思います。
どちらの国にも良さがあり、どちらにも見直すべき点があるのですよね。私はどちらの国も大好きです。
それではみなさん、Bonne journée!
ライター名 pompon
・渡航した年 2005年
・お住いの国 フランス
・プロフィール パリに音楽留学したのち、フリーランスとして活動、そして結婚。フランス人の夫と娘、そして猫と一緒にフランス西部の都市に暮らしています。在仏12年になりました。フランスのバカンスシステムを支持する一方で日本の温泉も捨てられないという、日仏いずれをも愛する30代です。