Bonjour!,c’est pompon!
私は留学生としてフランスにやって来ました。ずいぶん前のことになりますが、その頃は言葉のことや生活、そしてフランス人との人間関係など密かに悩むことも困ることも度々ありました。
今回は、その私の経験などを生かして、フランスに来る前に知識として知っておきたいことをご紹介して行きます。
行き先はパリ?それとも地方都市?
「この学校で学びたい」と決まっているのであれば、自然と滞在先は決まります。しかし漠然と「フランスに行きたい」と思っている時、悩むのが行き先です。
憧れの花の都パリか、少し落ち着いた地方都市か。どちらにもメリットとデメリットがあり一長一短です。
パリ滞在のメリットとデメリット
やはり首都ですから、経済的、文化的にも他の都市より何事も選択肢が多く、優れている点は多いでしょう。
私は音楽留学でしたので、パリで行われるレベルの高いコンサートの多さや美術館の豊富さには大満足でした。
そして、約3万人の在仏日本人のうち過半数がパリとその近郊に暮らしているとされています。そのため日本人向けのサービス、例えば日本食材店であったり、日本人スタッフのいる銀行であったりが充実しています。
そのためアルバイトなど仕事先も、日本食レストランや食材店など地方都市とは比べ物にならないほどの数があります。
そして先述のように銀行さえ日本語で対応してくれるので、フランス語が少々苦手でもなんとか生きていけるのがパリでしょう。
反対に、フランスという国にいながら日本人とだけ付き合い、日本語で暮らしていくことができてしまうのがデメリットでもあります。
日本人とだけ付き合っているとフランス人の友人などはできにくいですし、当然フランス語も上達しません。それではフランスの生活に馴染めるとは言い難いので、折角渡仏しても実りの少ない滞在になってしまう可能性があります。
憧れのパリで充実した滞在をするには、自覚としっかりした意思が必要と言えるでしょう。
地方都市のメリットとデメリット
対する地方都市ですが、メリットはたくさんあります。まず一つに家賃や食費などの生活費がパリよりも安くすみます。
そして、パリジャンよりも地方都市のフランス人の方がずっと暖かで親切ということ。パリだと毎日のように役所や交通機関・お店の人などの冷たい対応に気分を害することが多いのですが、地方都市ではそんなことはほとんどありません。
笑顔で対応してくれますし、ゆったりと暮らしているその余裕が、私たち外国人への対応の違いでわかります。
特に渡仏すぐの頃は慣れない暮らしでストレスも多いので、あたたかく接してもらえるだけでとても嬉しいものです。
ですが、パリに比べて日本人が少なく当然需要も少ないので、日本人であることを活かした仕事についたり、日本人に嬉しいサービスを受けるといったことは期待できません。
もちろん渡仏すぐに必要な銀行手続きなどもフランス語。学校に日本人がいなければ日本語で助けてもらえることもありません。ですが、そのぶん鍛えられてフランス語がしっかり身につくとも言えるでしょう。
また街の規模によっては、文化・経済的に物足りなく感じることもあるかもしれませんね。
フランス語はどれくらいできていたら大丈夫?
そして、暮らしていく上でフランス語はどの程度必要でしょうか。言葉では言い表しにくい内容ですが、経験談を少しお話しします。
私は日本で独学で勉強していました。地元にはフランス人と会話を習えるスクールなどは当時無かったのです。なので、ラジオ講座や教材を買っての学習がメインでした。
ある程度基本の文法やフレーズを覚えたりはしていたつもりでした。なので、自分の要求を伝えたりはできる程度でした。
しかし、実際話してみると、返事が聞き取れないのです。教材CDと違ってとにかく早い。若い人は特に早口です。また、一対一の会話ならまだなんとかなるのですが、数人での雑談になると話題についていくこともままならず、いつしか一人になっていることもありました。
皆さんが渡仏する理由は様々で、今の語学力を磨く人もいれば、専門の勉強のためにしょうがなくフランス語を覚えている人もいると思います。ですが、やはりフランスに暮らすならフランス語は必須です。
読み書きなど文法はもちろん大事ですが、なるべく渡仏前にフランス語話者との会話に慣れておくことを強くおすすめします。
フランス人の基本性質を知っておこう
フランス人と日本人は、もちろん一概には言えませんが、一般的に考え方や価値観が大きく違います。
日本の感覚で接すると、壁にぶち当たり傷ついてしまったり人間不信になったり、とにかくストレスになります。日本人が受けがちな、在仏日本人の間で「フランスの洗礼」とも呼ばれる、日仏のギャップをご紹介しておきます。
簡単には謝らない
フランス人は、「私のせいじゃない」というセリフをよく使います。例えば職場の同僚のミスは「同僚のミス」であって「私のミスではない」のです。会社を代表して個人が謝るということは、まずありません。
同じように、「わざとじゃない」というセリフもよく耳にします。「わざとかどうかは聞いていない、とにかく謝れ!」と日本人は思いがちですが、わざとではないなら謝らない、というのが基本スタンスです。
人によって対応がまちまち
これは悪いことばかりではありませんが、例え役所であっても、担当する人によって対応はまちまちです。同じ書類を提出したとしても、ある人は問題なく受け取り、ある人は不備があるといって再提出になる、ということが日常茶飯事なのです。
また、日本のようにスムーズに手続きなどがいくことはまずあり得ません。何事にも時間がかかります。時間がかかるだけならまだいいのですが、重要書類を紛失するということも、日本からすると考えられませんが実際によくあります。
「郷に入らば郷に従え」
外国に暮らす、というのは言葉の壁や考え方の違い、経済的な問題など簡単ではありません。ですが、自分の故郷ではない国で暮らしてみるというのは素晴らしい経験ですし、きっとあなたのこれからに役立つはずです。
私の留学生活も、確かに苦しいこともありましたが、今思えば全てが輝くような思い出です。
より良い滞在にするためにも、フランス語をできるだけ話せるようにし、日本とは違う国であるという自覚を持って暮らすといいでしょう。
そしてあなたにぴったりの街が見つかりますように。
それではみなさん、Bon courage!
ライター名 pompon
・渡航した年 2005年
・お住いの国 フランス
・プロフィール パリに音楽留学したのち、フリーランスとして活動、そして結婚。フランス人の夫と娘、そして猫と一緒にフランス西部の都市に暮らしています。在仏12年になりました。フランスのバカンスシステムを支持する一方で日本の温泉も捨てられないという、日仏いずれをも愛する30代です。