有給消化率100%!バカンス大国フランス流の楽しみ方

Bonjour!,c’est pompon!

「バカンス」という言葉、いい響きですよねえ。青い空と輝く海、白い砂浜にのんびり寝そべる優雅でセレブなイメージが広がります。

フランスはバカンス大国と言われますが、彼らはどんな風にバカンスを楽しんでいるのでしょうか?みんなリッチに南の島に行っているのでしょうか?

今回は、フランスのバカンスの実態をご紹介していきます。

フランス人にとってのバカンスとは

日本でもたびたび取り上げられていますが、フランスの有給消化率は100パーセント。誰しもが当たり前に休暇をとっています。

日本ももちろん有給休暇はありますが、日本だと「私が休んだら迷惑がかかる」とか「上司が休まないのに取りづらい」といった風潮があるのは否めません。

フランス人にとって有給休暇は当然の権利なので、1日たりとも残さずフル活用します。ちなみに病欠は有給にカウントされません。

有給を消化しなかった場合は買取、つまり会社から有給分を払い戻しされますが、雇用主側はこれをよしとしないので、できるだけバカンスを取るようにと指示されます。

上司から「有給を取りなさい!」と言われるなんて、夢のようではありませんか?

有給消化率100%!バカンス大国フランス流の楽しみ方

どれくらいの期間バカンスがあるの?

雇用形態などによって多少の違いはありますが、基本的には5週間の有給休暇があります。これらは2週間、4週間と連続して取ることができるので、主に夏にまとめてバカンスを思い切り楽しむのです。

共働きの家庭が多いので、なるべく夫婦が同時期にバカンスをとって家族で一緒に過ごすバカンスは、一年で最大のイベントと言えるでしょう。

企業やお店はバカンス中どうなる?

7月・8月、また9月にとる人もいますが、バカンスをとっている間、企業やお店などはどうしているのでしょうか。そんなに長くお休みして、業務に支障はないのでしょうか。

夏の間、数週間お店を完全に閉めてしまう個人経営のお店はたくさんあります。バカンスの間代わりの人を雇ったり同僚が穴埋めすることはありません。お店自体がバカンスをとってしまいます。

なので、夏はあちこちのお店が閉まっているため、旅行の際は要注意ですね。チェーン店などは通常営業しています。

企業などでも、基本的にバカンス中の人の仕事を他の人が請け負うことはありません。ですから仕事相手と連絡がつかなくなってしまうのがこの時期です。

その昔、私が賃貸アパルトマンを探していた時のことです。不動産屋さんに出向いたところ、「ああ賃貸物件担当がバカンス中なんです。2週間後に来てください。」と言われました。対応してくれた人は売り物件担当だったそうで、担当者のいない間賃貸物件業務はストップしているようでした。

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何をして過ごすの?

気になるのはバカンスの過ごし方。みんなどのように過ごしているのでしょうか?待ちに待ったバカンス、何ヶ月も前から計画するその内容とは?

国内外へ旅行に出かける

やはり長期のバカンスとなれば旅行に行きたいもの。太陽を求めて移動するフランス人として人気はやはり地中海や大西洋岸などの海です。けれど、夏は交通費も滞在費も大幅に値上がりしているので、皆が皆希望の場所へ行けるわけではありません。

一昔前まではみんなこぞって海外へ飛び出したものですが、現在は堅実に手頃な旅先を探す人が増えているようです。時期をずらしたり、早めの予約をすることでコストが抑えられるので、そういったサービスをうまく利用している人も多いですね。

2016年の調査でも、実際に旅行に出るのは半数、その中でもフランス国内派が6割以上。国外派の中でも8割近くがヨーロッパを行き先に選び、人気はバルセロナ・リスボン・ロンドン・ローマなどです、

親戚宅・友人宅へ

フランス人全員が優雅に旅行に行けるわけでもありませんし、取得した有給全てを旅行に費やせるわけでもありません。

その他出かける先としては祖父母宅などの親戚宅、遠くに住む友人宅などが実際には多いのです。学生や若年層、経済的にゆとりがなければなおさらです。

でも普段会えない人とゆっくり過ごしたり、いつもと違う場所に行くだけで心はリフレッシュできるものです。

日頃できないことをする

そもそもバカンスとは、私たちがイメージしがちな観光や旅行を指すわけではありません。ゆっくり休み、日頃できないことをするのがバカンスです。

忙しいあまり読めていなかった本を読んだり、日光浴をしながら何にもしない時間を過ごしたり。「時間があるから何かしないと損!」のようにせっかちな感覚(は、もともとフランス人にはあまりありませんが…)を捨てて、のんびりするのが好きという人もたくさんいます。

また、夏は自宅の改装などDIYに精を出す人もたくさん。自分たちの手でなんでもやってしまうフランス人は、ホームセンターに行って板や道具を揃え、自分で改装するのが大好きなんです。

年度が変わる前の夏が引越しシーズンなのは、バカンスをとって住まいを整えられることも関係しているのかもしれませんね。

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子供のバカンスとは

子供たちの通う学校も、バカンスがたっぷりあります。ここまで主に夏のバカンスについてお話しましたが、夏の2ヶ月のほか、2週間の休みが年に4回あります。

親はそんなにお休みは取れませんから、祖父母宅に行ったり、コロニーと言われる林間学校のようなものに参加したり、習い事の集中講座に通ったり。大人と同じように、普段できないことを思いっきり楽しむのがバカンスなのです。

どこかに行っても行かなくても、みんな素敵なバカンスを過ごして、バカンス明けはリフレッシュした気持ちで仕事や学校に戻ってきます。メリハリのある生活、私たちもできるだけ見習いたいものですね。

それではみなさん、Bonnes vacances!

ライター名 pompon

・渡航した年 2005年
・お住いの国 フランス
・プロフィール パリに音楽留学したのち、フリーランスとして活動、そして結婚。フランス人の夫と娘、そして猫と一緒にフランス西部の都市に暮らしています。在仏12年になりました。フランスのバカンスシステムを支持する一方で日本の温泉も捨てられないという、日仏いずれをも愛する30代です。