フランスで復活祭(パック)を祝ってみよう!日本人妻は見た!

Bonjour,c’est pompon!

寒くて暗くて長〜いフランスの冬。そこに暖かな春の訪れを告げてくれるのが、街に溢れる色とりどりの卵やうさぎのモチーフにチョコレートたち。そう、イースターとも呼ばれる復活祭です。

今回はフランスの復活祭の様子をご紹介しましょう。

復活祭とは?

フランス語で復活祭はPâques(パック)と呼びます。キリスト教の祝日で、イエス・キリストが十字架に架けられて亡くなったのちに復活したことを祝う日です。毎年決まった祝日というわけではなく、「春分後、最初の満月をむかえた次の日曜日」と定められているのです。そして翌日の月曜日もlundi de pâquesという祝日となっています。

言い伝えによると、パックの3日前にあたる金曜日(vendredi saint、ヴァンドルディ・サン)、キリストの死を悼んで、鳴らない教会の鐘(cloche、クロッシュ)はローマに向けて旅立つのだそうです。そして日曜日、鐘の中を卵でいっぱいにして空から卵を各家庭にまきながら戻って来ます。そして教会の鐘が再びなった時、子供達は天からの贈り物である卵を探しに行くのです。

なぜ卵とウサギを飾るの?

復活祭といえば卵・ウサギ・鶏がシンボルで、あちこちで見かけるのですが、これはどうしてでしょう?

まず卵は復活祭の物語にも出て来ますが、もともと誕生や復活のシンボルなのです。そして卵といえば鶏。
かたわらに鶏モチーフもたくさん見られます。またウサギは繁殖力が高く多産であることから繁栄の象徴で、うさぎの形をしたチョコレートがあちこちのお店に並んでいます。

日本でもここ数年ちらほらと見られ始めましたが、卵やウサギが飾られているのにはこういった理由があったのですね。

パックは宗教行事ですが、クリスマス同様にパティスリーやショコラティエにおいては力の入ったチョコレートやケーキが登場します。スーパーなどでも卵やうさぎの形のチョコレートが所狭しと並んでいて、まるで日本でも見られるバレンタイン商戦並みのすごさです。色々なショップやメーカーのものを比べてみるのも楽しいですね。

どんな習慣があるの?

ではフランスではパックをどのように過ごすのでしょうか。人々は教会でパックのセレモニーに参列します。日頃はそんなに教会へは行かなくても、クリスマスとパックだけは特別、という人が多いようです。

そして家に帰ると、鐘が落としていった卵(の形をしたチョコレート)を探します。大人がこっそり隠して、子供達が卵探し(chasse au oeufs)をする姿があちこちの家庭で見られます。おじいちゃんやおばあちゃん、親戚一同が会する家庭も多く、子供達にとってはクリスマスに次いでワクワクするイベントなのです。

隠される卵は、先述の卵型チョコレートの場合が多いですが、本物の卵の中身を抜き、色とりどりに塗ったイースターエッグを手作りして楽しむ家庭もあります。

また月曜も祝日で連休になり、学校もこの時期はバカンスの地域もあるため、旅行に出かける人も多いようです。市町村主催の卵探しイベントもありますよ。

フランスで復活祭(パック)を祝ってみよう!日本人妻は見た!

復活祭の食事とは?

日本では「卵料理を食べる日」と認識されているようですが、フランスではどうでしょうか?

もともとこの復活祭は、キリスト教徒の40日間の断食が開ける日ということで、豪華な食事を家族揃って囲みます。

伝統的なメニューとしては羊料理がありますが、必ずといったわけではなく各家庭で異なります。ゆで卵を食べていた時代・地域もあったようですが、現在はパックにはあまり食べませんし、日本のようにオムレツを食べるという習慣はありません。

パックのデザートで代表的なのは、nid de pâques(ニ・ド・パック)と言われる鳥の巣をかたどったケーキ。スポンジケーキにバタークリームを使ったもので、ちょこんと乗せられた卵が可愛らしいので是非。

またアルザス地方では、Agneau pascal(アニョー・パスカル)という羊の形をした焼き菓子が有名です。羊の形の陶器の型に卵や小麦粉、砂糖を使った生地を流し込み、焼きあがったら粉砂糖をかけて仕上げます。素朴で可愛らしいお菓子ですよ。

そしてもちろんチョコレート。フランス人は普段からちょっとした贅沢であるチョコレートが大好きで、「チョコレートだけは不況のあおりを受けない」と言われるほどです。テーブルにはウサギや卵の形のチョコレートがたくさんでとっても可愛らしく華やかになります。

復活祭をお祝いしてみよう!

いかがでしたか?日本でもクリスマス、ハロウィンに次いで馴染みつつある復活祭。キリスト教徒でなければなかなかその背景まで知って祝うことは少ないかもしれませんが、カラフルなディスプレイを見ているだけでもワクワクしてきます。この時期にフランスにいる機会があれば、是非可愛い卵たちを手にとって一緒にお祝いしてみてくださいね。

それではみなさん、Joyeuses Pâques(復活祭おめでとう)!

ライター名 pompon

・渡航した年 2005年
・お住いの国 フランス
・プロフィール パリに音楽留学したのち、フリーランスとして活動、そして結婚。フランス人の夫と娘、そして猫と一緒にフランス西部の都市に暮らしています。在仏12年になりました。フランスのバカンスシステムを支持する一方で日本の温泉も捨てられないという、日仏いずれをも愛する30代です。