What’s up, it’s Ket.
海外に移住して、日本とは気候や環境が違ったりストレスなどで体調を崩しやすくなってしまう人も多いかと思います。“病院に行きたい”“薬が欲しい”と思うけれど、うまく伝わるかな、目的の物が手に入るだろうか、と心配になりますよね。
医療費がとても高くて受診を躊躇してしまうような国もあります。とりあえず、日本出国前に海外旅行保険を手に入れておくと間違いなさそうです。私は、最初の1年だけ日本の保険を使いましたが、その後は学校の保険、卒業後は無保険で生活していました。
アメリカで学生〜妊娠・出産でいろんな医療機関にかかりましたが、それぞれ衝撃的なことも多数ありました。病院といえば、刑事、ミイラ・宇宙人などと肩を並べるアメリカンドラマの定番ですが、最新の研究や設備が揃ってるだけではない現実があります。
初めての病院で幻滅
まず、私が初めてアメリカで病院にかかった時の話です。まだ英語もうまく話せなかった学生のころ、1週間ほど酷い頭痛に悩まされました。当時は病院に行くというのは、かなりハードルが高かったです。病院に電話するだけで心臓がドキドキしました。
友達が勧めてくれた、日本人医師のいる大きな病院にアポをとりました。体調が悪いからといって、その日に診てくれることはありませんでした。現地の病院は、アポがないと門前払いのところがほとんどです。
2日後、やっと予約日になりました。それまで日本から持参した薬を飲みながら10日近く経っていたので、最低血液検査くらいしてくれるだろうと思っていました。
しかし、実際に日本人の医師に会って1分。“アスピリン(市販の鎮痛剤)飲んだらいいでしょ。”で終了でした。お会計$150。問診表を書いたり、体温を測ることもありませんでした。後ほど保険会社から支払いがありましたが、こんなにも理不尽な$150は初めてでした。
アスピリンで治ったら病院なんか行かないのに!と悔しい思いをした初めての病院でした。
かかりつけは小さな診療所
最初の受診で病院への信頼をなくした私は、それから暫く病院に行くことはありませんでした。体調が悪くても気合でなんとかしていました。
次にどうにもならない程の風邪をひいたのは、渡米してから3年目でした。インフルエンザのような体のダルさと発熱で、さすがに病院に行こうと思いました。この時、保険は学校の安いのを持っていました。医療費の全てがカバーされるものではありませんでした。
友達に勧められたのは、ホームレスや低所得者を積極的に受け入れている診療所でした。とにかく安い!アメリカでは、保険料が高額過ぎて払えない人や、保険が満額支払いされない人が沢山います。ホストファミリーが腕を骨折したときは保険適応前で$23,000で、保険適応後の手出しが$8,000でした。
予約をし実際に行ってみると、最初の病院とは大違いでした。最新の機器が揃っているわけではありませんが、スタッフも医者も気さくで一通りの基本的な診察を受けられました。
お会計$10。次からもここにしよう、と思いました。
妊婦健診、これでいいのか
月日は流れて、アメリカ生活6年目。妊娠しました。これは病院嫌だなんて言ってられませんが、どうしても嫌だった私は助産院を選びました。ここでも日本との違いが沢山ありました。
検診の頻度でいうと、日本と変わりません。全く同じでした。が、検査が明らかに少ないです。
妊娠発覚から生まれるまでに、血液検査1回、尿検査4回、内診1回、超音波1回でした。日本だと妊婦の健康管理は厳しく、貧血や体重の増加、糖・蛋白などは毎回調べていますよね。
本当にこれで産んでいいものか悩みました。日本では健診のたびにあるエコーも、性別が判定し、手足や指、骨や内臓などが揃った20週前後に1回しかなく、お腹の中にいた時の画像は1枚しかありません。
助産院では設備が足りないため、エコーだけは大きな病院のエコー専門部へ送られました。約20分かけて、背骨の数、指の数、内臓に欠陥がないかなどを綿密に調べてくれました。
ある日、エコー部より請求書が届きました。保険で100%カバーされているはずなのに不思議に思いましたが開けてびっくり。$1,500でした。たった1回のエコー費用。後に、保険番号の打ち間違いだということで払わなくてもいいと連絡が来ましたが冷や汗ものでした。
子供にも不憫な医療システム
小さい子供の通院についても、大人と一緒で予約が必須です。定期健診と予防接種もかかりつけのクリニックで行います。予防接種、一度に4本程一気に打ちます。
万が一、発熱や嘔吐などで受診が必要な場合はウォークインで診てもらえますが、平均して3〜4時間は待ちます。当日に電話で予約を入れようにも、いっぱいで断られてしまいます。今まで、子供の受診で1週間以内に予約が取れたことがないです。
体調が悪い子供を長時間座らせておくのもかわいそうなので、基本的には病院に連れて行きません。自宅で栄養のあるものを食べて、沢山寝るのが一番だと思います。万が一の時には救急車を呼ぶように言われていますが、一度呼ぶと$600かかるので実際には躊躇しますね。
とりあえず、アメリカは医療費が高い!ということに尽きます。日本のように気軽に受診はできませんでした。
家族で日本に引っ越してきた今は、夫は風邪を引くとすぐに病院に駆け込んでいます。子供たちに関しては、急な体調の変化でも病院に行けずに不安な日々を過ごさなくていいので気が楽です。次女は、生まれつきの難病があり大学病院に通っていますが、アメリカだったら適切な処置が受けられたか定かではないです。
新しい大統領になりましたが、国民の医療費の負担が軽くなることはなさそうですね。
See you later, have a good one.
ライター名 Ket
渡航した年:2008年〜2015年
お住いの国:アメリカ ワシントン州
公用語:英語
プロフィール 学校、就職、結婚、出産を米国で経て2015年に帰国。夫、3人の子供、猫と田舎で暮らしています。