Bonjour!,c’est pompon!
フランスへ渡るには、留学やワーキングホリデー、海外派遣などそれぞれ様々な理由や目的がありますよね。私の場合は音楽留学でした。今回は音楽留学生の暮らしをご紹介したいと思います。
音楽院は音楽大学ではない
まず、音楽学校のシステムが日本とは大きく違います。日本では専門的に音楽を学ぶ場合、多くは音楽大学へ通いますが、フランスに音楽大学はありません。音楽という芸術そのものを理論的に学ぶ科などは大学に存在しますし、教員免許取得のために大学で学ぶ必要があることもありますが、一般的に演奏を学ぶのであれば、conservatoire(コンセルヴァトワール、音楽院)や ecole de musique(エコールドミュジック)と呼ばれる音楽学校に通います。
音楽学校は公立・私立いずれもあり学校によっても異なりますが、公立の場合は年間数百ユーロから1500ユーロほどで安価にレベルの高いレッスンを受けることができます。
子供のクラスからプロ養成課程、大人の趣味まで様々なクラスが設けられているのが一般的です。
どんな年間スケジュールなの?
私立の音楽学校は学校によってシステムに大きく差がありますので、ここでは概ね共通のシステムのある公立の音楽院を取り上げます。
二ヶ月の夏休みを終えた後、9月に新学期が始まり、6月で1年度を終えます。入学試験があり、新学期が始まった後10月ごろに行われることが多いでしょう。学校のホームページや校内に試験の詳細が掲示されています。
無事に入学できればレッスンや理論の授業などがすぐに始まります。音楽院もそのほかの学校同様に年に4回、各2週間のバカンスがあるので、始まったと思ったらすぐにお休みということも。
師事する先生によっては学内発表会があったり、学校のカリキュラムによるコンサートに出演したり。そして5月末から6月にかけて年度末試験があります。
日々の生活パターン
レッスンは週に一度行われるのが一般的です。個人レッスンの場合もあれば、お互いのレッスンを聴講して意見を出し合ったりするグループレッスンのこともあります。これは専攻楽器や先生によって異なるでしょう。
そしてソルフェージュという音感トレーニングや音楽史、理論などの授業が必要と希望に応じて受けられます。
また室内楽やオーケストラの授業が必須な場合が多く、こちらも週に1度レッスンがあることが多いです。そしてコンサート前ともなれば集中練習があります。
学校のカリキュラムや個人の選択科目にもよりますが、毎日学校で朝から晩まで授業があるわけではありません。大学ではないので、一般教養などの科目もありませんからね。その代わり、練習時間を確保しなければなりません。
練習はどこでいつするの?
音楽を学ぶものにとっていつも頭を悩ませるのが練習場所。日本のような音大生専用音出し可能物件はフランスにはありません。入居案内に「音出し可」となっているものでも音の小さめなものに限られていたり、実際入居してみると苦情が多くてとても練習できなかったり。練習時間が長い人や大きい音の楽器の人にとっては悩みの種なのです。
代々音楽家が住んでいて問題のないマンションや音楽家専用の寮などに暮らすことができればラッキーです。
ではそうでない場合はどうでしょう。ほとんどの音楽院には無料で使える練習室があります。ただし備え付けのピアノはほとんどが状態の悪いアップライトピアノなので、ピアニストさんには辛いかもしれません。頑張ってピアノ可能物件を探しましょう!
声楽や管楽器や弦楽器なら音の出せるスペースがあれば練習はできますから、利用してみるといいでしょう。一回の利用時間制限があり、また留学生に限らず自宅で音が出せる学生ばかりではないので、多くの学生が空き部屋待ちをしています。その待ち時間にフランス語で交流でき友達も増えるので、家にこもってしまいがちな練習熱心な人にもオススメです。
練習と学校以外は何をしているの?
1日の練習時間は専攻楽器や人によりそれぞれですが、3時間〜7時間くらいの人が多いでしょう。ではそのほかの時間はどうしているのでしょうか?
もちろん暮らすためにスーパーに買い物に行ったり、生活の時間もありますが、多くの学生はコンサートやバレエ鑑賞などに足を運びます。
特にパリではいくつものホールで毎日毎晩のように素晴らしいコンサートなどが開かれています。しかも日本に比べて安価な席もあり、特に学生割引などを使えば1000円ほどで世界トップクラスの演奏が聴けるのです!折角パリに暮らしていてこれらを聞かないなんてもったい無さすぎます。是非どんどん足を運んでほしいと思います。
またフランスにはルーブル美術館やオルセー美術館などをはじめ、素晴らしい美術館や博物館が山ほどあります。これらも学生は非常に安価で鑑賞することができ、第一日曜日には無料になる場所も多いので、利用しない手はありません。
また美しい街並みを散歩したり、公園でのんびりピクニックをしたりするのもオススメ。勤勉な日本人は休む間も無く練習に励みがちですが、リフレッシュすることは誰にとっても大切ですから、フランス人を見習って「やるときにはやる、休みときには休む」というスタイルを取り入れてみてはどうでしょう。むしろ効率が上がるのではないでしょうか?
部屋にこもって練習するだけが勉強ではありませんものね。
ぎゅっと詰まった留学を
いかがでしたか?これはもちろん一例ですが、大まかにはこんな暮らしをしています。最初はまだまだ長いと思っていた留学も、楽しく忙しくあっという間に時間が過ぎてしまった記憶があります。
限られた期間だからこそ、思い出も経験もたくさん詰まったフランス留学になりますように!
それではみなさん、A bientôt!
ライター名 pompon
・渡航した年 2005年
・お住いの国 フランス
・プロフィール パリに音楽留学したのち、フリーランスとして活動、そして結婚。フランス人の夫と娘、そして猫と一緒にフランス西部の都市に暮らしています。在仏12年になりました。フランスのバカンスシステムを支持する一方で日本の温泉も捨てられないという、日仏いずれをも愛する30代です。