チェコでは出産費用がほぼ無料!ベビーカーママだって大助かり

Ahoj、maminka!

私が長男を出産したのは、36歳の時でした。高齢での初出産、しかも外国。分からないことだらけで体力の限界を感じる日々でした。

でも、出産に優しいともいえる社会保障と、豪華なサービスは無いけど必要なことはきちんと揃っているこの国のシステムが、私たちを支えてくれました。今は、5歳の長男と3歳の次男に恵まれ幸せいっぱいです。

チェコでは、出産費用がほぼタダ

チェコでは、病院に行ってもお金を払いません。私がチェコに来た当初は、初診時に150円ほどを払うのが規則でしたが、今ではそれも廃止されタダなのです。同じように、産婦人科でもお金は払いません。

これらをまかなっているのは、サラリーマンなら給料から自動的に引かれている健康保険費です。健康保険費は給料の13.5%です。その内、4.5%が自分の給料から自動的に引かれ、残りの9%は会社が負担してくれます。

決して安いとは言えない健康保険費ですが、このお陰で、病気になっても妊婦になっても、タダで診てもらえます

私は初めから高齢出産でしたので、産婦人科の先生が当然のように羊水検査などの遺伝子検査を進めてきました。受けるか受けないかは夫婦が決めることですが、チェコでは高齢だとこういう検査を受けるのは普通です。受ける費用はタダでした。

でも当時、同じ遺伝子検査でも、血液検査では5000円ほどかかりました。私たちは、長男の時は血液検査と羊水検査の両方を受け、次男の時は羊水検査だけにしました。

勿論、エコー検査などもタダです。でも、出産で病院に入院したときは、宿泊費がかかりました。私は大部屋で赤ちゃんと同室だったのですが、食費なども含めて一泊500円ほどでした。勿論、個室もあります。宿泊費は大部屋より高いはずです。

救急車利用で9万円!?知っておいて損はないオーストラリア医療事情

出産する病院は別

妊娠が分かると、産婦人科に通います。それは日本と同じだと思うのです。でも、チェコでは、出産するのはそれまで通っていた産婦人科とは違う大きな病院になります。そこで、初めて会った先生たちと出産するのです。

診断結果などは個人のカルテで引き継がれているので、心配ないと言えばそうですが、初めての環境で大丈夫だろうかと心配しました。陣痛が来たら、いつもの産婦人科の先生のところではなく、出産用の大きな病院に荷物を持って駆けつけました。これがチェコでは通常です。

出産後私が入ったのは4人部屋で、赤ちゃんと同室でした。産後すぐのママ4人と、生まれたての赤ちゃん4人が一緒に5日間ほど過ごすのです。これは結構な苦労でした。

私たちの長男は、生まれた時から、泣いて泣いて泣き止まない子でした。同室の赤ちゃんを起こしてはいけないと、とても気を使いました。でも、そんな辛い経験も、同室の新米ママたちとの時間も、今となっては良い思い出になっています。

次男の時は、入院中の要領も赤ちゃんのあやし方も分かっていたので問題はなかったのですが、看護婦さんが厳しい人で、その時は私が泣きそうでした。お乳の出が悪いから粉ミルクを貰いに行くと、「授乳の努力はしてるのか。」と言って、ミルクをくれなかったのです。酷い人だと思いました。

でも、正しく授乳できるように指導してくれ、そのお陰でお乳が出るようになったのです。今では、あの厳しい看護婦さんにとても感謝しています。

出産でも、チェコの厳しさと優しさを感じました。

産休と育休

産休は、出産予定日の8週間前から始める事ができます。遅くとも6週間前までには始めます。その後出産を経て、合計で最長28週間続きます。28週間ということは、半年以上あるということです。日本では2か月ほどなので、チェコの方が産休は長いです。

その間に受け取る産休手当は、給料の多さにもよるのですが、平均的な収入のある女性であれば65%ほどです。日本では3分の2くらいなので、大体同じくらいと言えます。

産休の後に始まる育休ですが、チェコにもあります。28週間の産休の後、育児休業に入ります。期間は自分で選びます。短い人は一年半、長い人は4年まで取ることができ、3か月単位で自分に合わせて期間を設定します。

育休の期間の長さに関わらず、受け取る金額は一定で、合計で100万円ほどです。期間を長く設定した人ほど、毎月に受け取る金額は少なく、期間を短く設定した人は、毎月に受け取る金額が多いということです。

産休育休中の社会保険料を払わなくてよいのは日本と同じです。でも、日本のように子供手当というものはありません。

ここで、チェコの物価について触れます。チェコの物価は、日本より安いです。給料は平均で14万円くらいです。日本より大分低いですよね。

救急車利用で9万円!?知っておいて損はないオーストラリア医療事情

子育て環境

上に書いたように、出産費用が掛からないというのは、子供を産むうえではとても大きな助けになります。しかも、チェコの男性は、子育てに積極的です。幼稚園のお迎えや、ベビーカーを押してくれたり、公園で子供と遊ぶパパもよく見かけます。子供が2歳になる頃には仕事復帰するママが多く、共働きが一般的なチェコなので、自然と父親も子育てに関わっているようです。

チェコに来て驚いたことの一つは、ベビーカーの多さでした。街ではあちらこちらで、ベビーカーでお散歩やお買い物をしている人を見かけます。赤ちゃんが生まれてから一か月もすると、ママは赤ちゃんとお散歩に出掛け始めます。もちろん、ベビーカーです。

ベッドみたいなのが付いたベビーカーがあって、生まれたての赤ちゃんでも寝たまま乗れます。そんな大きなベビーカーですが、お店の中だって喫茶店だって、トラムだって電車だって、あらゆる場所に入れます。狭いトラムですが、ベビーカー用のスペースがきちんと設置されています。

しかも、チェコの人たちはベビーカーママにとても優しいのです。例えば、トラムの乗り口が狭い階段になっている事も多いのですが、ママひとりだけではベビーカーをトラムに乗せる事が出来ません。そうすると、周りの誰かがそれに気が付いて、「手伝いましょうか?」と積極的に聞いてくれるのです。女性も男性も、若い子たちも、自分から率先して声を掛けてくれます。

勿論、先に誰かがベビーカースペースに立っていたとしても、ベビーカーが来るとすっと場所を譲ります。結構混んでいるトラムには、ベビーカーを乗せるのは気が引けるなと思うのですが、チェコのママは違います。グイグイと乗せます。そこに隙間があるのなら、人が乗って良いと同じく、ベビーカーだって乗って良いのです。ベビーカーは邪魔という意見は聞いたことがありません。

お店の出入り口でも、手動の扉だと入りにくい時がありますが、そんな時も、すっと誰かが来て扉を手で支えてくれたりします。ベビーカーママが認められている社会です。

1年にたった2回!フランスのセール「ソルド」の仕組みと賢い買い物の仕方

ベビーグッズは豊富でない

チェコのベビーグッズの品揃えは、日本と比べたらとても少ないです。服にしても、離乳食にしてもです。最初に、日本で大手のベビーグッズ店に行ったときは、その天井まで高く釣り下がっている服の豊富な品揃えに、時間を忘れて買い物をしてしまいました。

そして大切なオムツですが、日本と同じくらいの値段がします。チェコの給料からすると、これは大きな出費です。そのせいなのかどうか分かりませんが、赤ちゃんのトイレトレーニングを始めるのが日本に比べると早いです。1歳から始めて、2歳でオムツ無しの子が多いです。3歳から幼稚園に入れますが、うちの村の幼稚園では、入園条件の一つにオムツが外れている事がありました。

他に高いと感じるのが、赤ちゃんの靴です。とても立派で作りが良く、可愛い靴なのですが、直ぐに大きくなる足には勿体ないなぁといつも思っています。うちでは、長男から次男にお古を回して、これなら元が取れるかなと思っています。作りは良いので、お古でも悪くないです。

国が違えばここまで違う!?オーストラリアのびっくりお仕事事情

まとめ

チェコは、子供を産み育てやすい国です。出産費用はほぼかかりませんし、産休育休中の保障もあります。そして何より、父親が自然に子育てに関わっています。ベビーカーひとつ取っても、社会全体が子育てママに優しいと感じます。勿論、日本のような豪華な出産時のサービスもありませんし、病院も質素なものですが、必要なことは十分にそろっています。

ベビーグッズの品揃えは少ないです。しかも、オムツや子供の靴は高いので、私は出来るだけ長く使えるように大切に使います。

私は、チェコで子育てができて本当に良かったと思っています。この秋には、長男が小学校にあがりますし、まだまだ知らない世界が待っているので、楽しみにしています。

Hezky den!

ライター名 マミンカ

渡航した年 2006年
お住いの国 チェコ共和国
公用語 チェコ語
プロフィール 11年前、ステンドグラスに魅せられて、チェコの工房で働きたい一心で渡航し、教会ステンドグラスの修復などを学びました。今は5歳と3歳の男の子の母親です。みなさんに役立つチェコ情報を届けたいと思っています。