草食系なんてあり得ない!イタリア人との恋愛・結婚事情

Buon giorno a tutti! Sono Miko!

アモーレの国イタリア。そのイメージ通り、この国は「愛」にとても寛容であります。そんなイタリア人の恋愛と結婚観について今日はお話してみようと思います。

愛だもの当然のこと

イタリア人にとって恋愛とは無くてはならないもの。もともと日本のように男女を区別して学生生活を送ることが無いので、友達同士で集まる時も男女関係なく一緒にいることが多く、自然に友達から恋人へと繋がるケースが多いです。

だいたい早い子達だと、中学生ぐらいから「カップル」として学校でも堂々と二人で過ごし、回りもそれを自然のことと受け取っています。デートはグループ交際や、友達グループの中にカップルがいることも多く、友人たちはそんな二人を温かく見守っています。日本ならきっと女子グループに一人だけ彼氏を連れて来たり、目の前でイチャイチャされるとすぐに嫉妬や非難の対象となるのでしょうが、イタリアではそれはありません。

ナンパは当然の愛情表現

もう少し年齢を上げてみましょう。だいたい20代半ばになると社会人として働く人もいます。もちろん職場での出会いもありますが、結構多いのが「ナンパ」です。ナンパという言葉はあからさまに女の子を引っかけるといった意味合いがありますが、こちらでは男性から気になった女性に声をかけるのは普通のこと。綺麗だな、可愛いな、と思ったらすぐに挨拶から始まり自然に会話が始まります

ある日、イタリア人の男友達とレストランで食事をしていた時のことです。横に可愛らしいイタリア人の女性グループが座りました。するとすぐにその男友達の目は横の女性達へ向けられ、しばらくすると会話が始まったのです。お互い全くの初対面ですが、ものの2分もかからなかったでしょう。

彼女達がお店を出る時、その男友達はすっと席を立ち、お店の外でお互いの連絡先を交換していました。戻ってきた男友達は「ごめん、ごめん!とても僕のタイプの女性だったから。」と恥ずかしげも無く私に話します。

彼に言わせれば「綺麗だね、可愛いね、と言って何が失礼なの?それにこれはチャンスだよ。目の前にタイプの女性がいるのに声もかけないなんて馬鹿げている。」と堂々と言い切りました。こんなにストレートで正直に恋愛について考えているなんて、私は少し驚いてしまいました。

草食系なんてあり得ない!イタリア人との恋愛・結婚事情

恋愛はするけど結婚はしない

恋愛を続けることは結婚に繋がっていくのでしょうが、現在イタリアでは多くのカップルが結婚というかたちを取らず、事実婚として一緒に暮らすケースが多いです。その理由の一つに経済的な理由で結婚式が挙げられない。そしてもし結婚をして残念ながら別れることがあった場合、離婚までに約3年以上の月日がかかるのです。その責任を考えるとなかなか結婚に踏み切れないカップルが多く、好きだからすぐに結婚式を挙げるという感覚はこちらでは考えられないことです。それだけ結婚には慎重であり責任感が伴うと意識されているのです。

結婚は市民に認めてもらう

晴れて結婚が決まったカップルは、先ず市役所で結婚の公示を行います。これは役所が「この二人は結婚をします。異議のある方は届けてください。」と一般に向けて知らせるのです。これは重複婚を防ぐ意味もあるそうです。

約2週間掲示され、何も無ければ市役所から結婚への許可が下ります。結婚式はお互いがカトリック教徒であれば教会で挙げるのが一般的です。もしカトリック教徒で無かったり、教会婚にこだわらないのであれば民事婚と言って市役所で挙げることができます。

レンタルなんてありえない

ウエディングドレスはオーダーメイドが当たり前です。衣装屋さんに行くと今流行のドレスが所狭しに並べられ、その中から自分のお気に入りを探します。気に入ったものが見つかるとフィッティングを行い、ドレス職人さんが細部まで細かくサイズの調整を行ってくれます。

私もシンプルなドレスを選びフィッティングルームで着替えると、「歩いてみて」と言われました。するとミリ単位でスカートの長さを調整してくれたのです。歩いた時に靴がどれだけ見えるか、裾を踏まないか、歩きにくくないか、そんなところまで計算してくれたのには脱帽でした。

そして価格ですが、日本のレンタル料と同じぐらいの値段で自分だけのウエディングドレスをイタリアでは買えてしまうのです。

草食系なんてあり得ない!イタリア人との恋愛・結婚事情

全てが自由!披露宴は10時間以上?!

結婚式が終わると披露宴の始まりです。日本ではホテルや結婚式場など、すでに設備が完璧に整った場所が沢山ありますが、イタリアでは会場にお城やヴィッラ(豪華なお屋敷)を披露宴会場として借りるのも人気です。また郊外の大きくて綺麗なガーデンがあるレストランもよく選ばれます。

日本で結婚式と披露宴に出席した場合、ほとんどが司会の進行によって進められていきます。披露宴は長くて3時間でしょうか。しかしここイタリアでは何も決まりがありません。司会進行役はおらず、乾杯の音頭を取る人も、スピーチをする人も、新郎新婦の友人たちによる余興もありません。

招待客には先にアペリティーボといって、食前酒と大量のおつまみが振る舞われ、そこで軽く立食とお喋りを楽しみます。その後、着席してコース料理が始まるのです。高砂席に座ってガツガツ料理を食べる新婦は日本では好ましく見られないのかもしれませんが、イタリアでは食事は食事。新郎新婦も招待客と一緒に料理を楽しむのは当然のことです。

その間の余興は何も無いので、テーブルでは延々にお喋りが続きます。延々に延々に・・・気付くと6時間以上過ぎていることも少なくありません。私の場合も、お昼過ぎに始まった披露宴が終わったのは夜の10時を回っていました。

草食系なんてあり得ない!イタリア人との恋愛・結婚事情

昔から伝わる伝統の愛の儀式

イタリアの地方に行くと、昔ながらの伝統的な結婚の風習がまだ残っています。私の義父の郷ですが、セレナーデと言い、結婚式の前夜に新郎が新婦となる彼女の家に行きます。そこでギターを弾き自分で作った「愛の歌」を披露するのです。

2階の小窓から新婦は顔を出し、歌が終わり彼の愛が伝わると、新婦は一本のバラを小窓から新郎に投げるのです。なんてロマンチックな演出なのでしょう!まるで映画のようなシーンがまだイタリアでは結婚式の伝統として受け継がれているのです。

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結婚の意味を考えさせられる

最近のことですが、イタリア人の女友達が「実は私結婚するの!」と連絡をくれました。彼女には夫も子供もいるのですが事実婚だったようで、一緒に暮らして25年。二人とも50歳を過ぎています。

そんな二人が改めて「結婚式」を挙げると言うので式に参加させてもらいました。終始笑いが絶えない二人の仲睦まじい結婚式。若い頃に挙げる結婚式もいいものですが、25年苦楽を共にし、改めて愛を誓い合った二人の結婚式は、刻まれたお互いの皺までも愛おしく、なんて素晴らしいのだろう!ととても感動させられました。

恋人探しや婚活に焦る日本とは違って、恋愛や結婚は世間体や年齢に左右されるものでなく、もっとその人自身の本質的なものだと、イタリアでは感じました。それは相手からいかに求められるか、それをイタリア人は恋愛美学とし、日々自分の外見と内面磨きを怠らないのだと思います。

それではBuona giornata!

ライター名 Miko

渡航した年 2006年
お住いの国 イタリア
公用語 イタリア語
プロフィール イタリアに嫁いで10年目。家族と一緒にイタリア各地を巡るのが何よりの楽しみ。チーズ好きが高じてチーズテイスターの資格も取りました。