引っ越し業者のいないブータン!どうやって引っ越すの?

Hello y’all! I’m Aqua.

日本だったら…。荷物の発送は大小問わず伝票を書いてお金を払ったら、あとは宅配業者にお任せ。引越だって、業者に電話して見積りしてもらったら、荷物を梱包してあとは待つだけ…。オプションをつければ梱包や荷解きだってやってくれますよね。

そこを行くとブータンはなかなか手ごわい国です。残念ながら、この国にはアリのマークもゾウもいません!笑

そう、ブータンには引っ越し業者がないのです。ではどうやって引っ越すの??

今回は引越や家探しについて書いていきたいと思います。

住む家はどうやって探すの?

実は個人的に家を探した経験が無いので、ブータンではどのような手段が選択肢としてあるのか、詳しいことはわかりません。私が見てきた周りの人たちの引越を参考に書いてみますね。

これは断言できませんが、恐らくブータンには不動産会社や賃貸あっせん業者などは皆無か、ほとんど無いと言っていいと思います。もしかしたら日本のように不動産仲介業者がいるのかもしれませんが、それを利用して家を探している人や、そのような看板を見たことはありません。

ただし、私の記事ではよく「首都圏の事情は別」というような表現をしますが、これも例外ではありません。首都圏は今もどんどん新しい建物が建てられており、空き家というか新築で入居待ち物件も比較的多いと思います。そこではなんらかの業者がテナントをあっせんしたり募集したりしているかもしれません。

しかし、基本的に田舎の方ではそのような業者はほとんどいないでしょう。ではどうするか?

それはやっぱり「口コミ」…でしょうか。

そもそも人口も少なく人口密度も高くないブータン。「○○の辺りに引っ越したい」と思ったら、その地域の人に直接聞いたり、そこに知り合いのいる友人に聞いたりと、口伝てでも十分空き家を探し当てられる可能性はあります。「ああそれなら誰々さんが近いうちに引っ越すから、そこはどう?」という具合に前の住人やオーナーを紹介してもらえるでしょう。

またもし業者を介することができるとしても、やっぱり周りのブータン人にどうしたらいいか、どこに連絡するのがベストか、聞くのが一番の近道だと思います。いろんなシステムがまだ確立していないブータンでは、まだまだ口コミが一番の情報収集手段。あ、facebookなどを使って情報を求めるのも有効だと思います。

私は1度だけ引っ越しを経験しました。この時は、たまたま近くに住んでいた日本人が帰国するということで、その方の後に入居したい!と周りに働きかけました。(もう「そこに引っ越す」と決めていたので、「家探し」は経験していないのです。)

もう一つ、自宅ではないのですが仕事上の関連施設の引越を手伝った事が1度あります。この時は業者を介していたのかもしれません。でもモチはモチ屋、情報収集はブータン人スタッフが手伝っていたようです。

基本的に、最初に住む場所は職場の人が紹介してくれると思うので心配はいらないと思います。ですが、もし「どうしてもその家は嫌だ、引っ越したい!」ということになれば、まず周りに聞いてみるといいと思います。

引っ越し業者のいないブータン!どうやって引っ越すの?

個人宅なら、入居の手続きはカンタン

引越先を決めたら入居の手続きです。

私の場合は、前の住人である日本人の方からオーナーさんを紹介してもらいました。正しくは、オーナーさんの息子さんかな?なぜならオーナーさん本人は高齢のママで、現地語しか話せない方だったからです。年配の方の中にはそういう方もいます。

交渉して家賃などを確認。問題なければ難しい契約書などもほとんどなく、ほぼ即入居OKでした。いつから住み始める、日割りで計算、退去時のダメージ修繕費用…など、詳しい取り決めは何もなかったです。デポジットも敷金礼金も、少なくとも私の場合はありませんでした。カギを受け取って、おしまいです。

とにかく町が小さいので、インフラ系のサービスはたいてい近くに支店があります。

しかし水はタダ。ガスについては、ブータンではガスはボンベを持ち歩きますので、ガス会社に連絡する必要はありません。ガスが切れれば自ら充填しに行かなければいけませんが。(なお水は浄水場などを介していませんので、タダですが飲めません)

電気は日本と同じようにメーター式です。近くの電気会社に連絡して、開けてもらえばOKです。ブータンでは「住所」というものが機能してないので、「どこそこに引っ越したんだけど…」と場所を説明したらだいたいスタッフが「ああ、あそこか」と察してくれます(笑)前に日本人が住んでいたところだと言ったらわかってもらえました。

インターネットも同様に近くのBhutanテレコムに行ってサービスの開始をお願いします。特に私の場合は前に住人がいてインターネットを使っていたので、架線工事などはいりませんでした。

田舎ではまだインターネットのケーブルが来ていない物件もあります。その場合は工事をお願いすることになるのですが、これがまた時間がかかるようです。下手すれば1か月以上かかるそうです。

しかし、私の知人の場合ですが、入居当初「ネット開通に3か月くらいかかるかも」と言っていたのですが、それを職場のエライ人に言ったら「なんということだ、すぐ工事してもらうように言ってあげよう」と働きかけてくれ3日くらいで開通してました(笑)

こういうことが起こるのがブータンなんですよね。

いざ引越!どうやって運ぶの?

さて引っ越し業者はないと冒頭でお話ししましたが、これは本当にありません。私の場合も、私の職場の関連施設の場合も、引越し業者は登場しませんでした。

ではどうやって荷物を運ぶのかと言えば…?

1.持てるだけの荷物を車に詰め込んで自分で移動
2.軽トラなどを持っている友人に頼むか貸してもらう
3.トラックなど貸してくれる業者を探すか、大き目のタクシーを予約

こんなところだと思います。

私の職場の関連施設の場合は3だったのだと思います。ただし、あくまで引っ越しサービスを提供している業者ではないので、値段などは交渉の上だったようです。

恐らく、大抵のブータン人の個人的な引越手段は1か2でしょう。私の個人的な引越の場合は2でした。

まずブータン人で大型家電を持っている人はあまり多くありません。冷蔵庫は持ってる人もいますが小ぶりのものが多く、頑張れば車の上に乗せられるかもしれません。洗濯機は持っていないブータン人が多いです。みなさん手洗いです。

なので大きな荷物と言えばベッドマットレスくらいなのですが、車の上に乗せて走っている光景をたまに見かけましたね。軽自動車でも載せられる物はドンドン載せていましたよ(多分交通ルールとしての規定はないか、ルールが機能していない)

テーブルやベッド等は、特にインテリアにこだわりがなければ職場が用意してくれたり家に備え付けられていることが多いです。また床にマットレスを敷いてベッド無しで寝ている家庭もあります。なのでブータン人が引っ越すときは本当に身の回り品だけで身軽に移動できちゃうんですね。

引っ越し業者のいないブータン!どうやって引っ越すの?

ブータン流はなんでもユルイ

このように、非常にワイルドな方法で引っ越しをすることになるのがブータン。

分厚い六法全書も(恐らく)無いので、賃貸契約に関するルールもほとんどないのだと思います。例えば壁に釘を打ち込んでも、模様替えと称してペンキを塗っても、退去時に怒られたり修繕費を徴収されることはないでしょう。あくまで私の経験上であり、オーナーさんそれぞれの独断によると思うので物件ごとに確認は必要ですが。

ちなみに、壁にキズをつけても構わないけど、運搬に業者を依頼する場合はキズをつけられることも覚悟しておいた方がいいです。家具で壁や床に引きずり跡を残したり、家具そのものにキズをつけられてしまう可能性はあります。

彼らは決して引っ越し業者ではなく「荷物を運んでくれる」だけです。保証もないので、高級なものは絶対に預けず、自分で運んだ方がいいでしょう。

とにかく引越する時は「こうする」というルールやメソッドが無いので、自己責任の範囲でやりたいようにできるのがブータン流。

ブータンの新築物件はキレイなものも多いですが、古い家は本当にボロです。「こんな家いやだ~引っ越したい(泣)」と思う日も来るかもしれません。その時はまず周りのブータン人に相談です!

それでは、Have a great day!

ライター名 Aqua

渡航した年 2013年〜2015年
お住いの国 ブータン
公用語 英語、ゾンカ
プロフィール 国際ボランティアに参加し、ブータンの地方高校へITインストラクターとして赴任。2年の任期満了後、帰国。現在はアメリカに留学し、舞台技術を勉強中。バレエなどのダンスが趣味。